真冬の「冷え」に振り回されないために
真冬になると、足先だけ氷みたいに冷たくなったり、肩や首がガチガチになったり、なんとなく体も心もどんよりしがちですよね。そんなとき頼りになるのが「温活」。とはいえ、やみくもに厚着したり、ひたすら長風呂をすればいいわけではなく、自分の体質や生活に合った“ベストな温め方”を選ぶことが大事です。
まず意識したいのは、「からだをほどよく温めて、リラックスしやすい状態をつくる」というシンプルなゴールです。体を温めると血のめぐりがスムーズになり、結果としてコリやだるさが和らいだと感じる人も多いですが、それはあくまで日々のセルフケアの一つ。病気を治すというより、「ちょっとラク」「少し動きやすい」くらいの変化を目指すイメージでいると、無理なく続けやすくなります。
そして、真冬の温活は「服」「食事・飲み物」「お風呂」「生活リズム」の4つをバランスよく整えるのがコツ。順番に、真冬におすすめのやり方を見ていきましょう。
ベストな服装は「首・お腹・足首」を守る
まずは毎日の服装から。寒いからといって、とにかく厚手ニットを着込むだけだと、動きにくくて肩もこりやすくなってしまいます。そこで真冬は、薄手の服を重ねる「レイヤー重ね着」がベスト。研究でも、室温と衣服の組み合わせで体の温かさの感じ方が変わることが報告されていて、こまめに脱ぎ着しやすい重ね着が快適さのポイントとされています。
特に意識したいのが、首・手首・足首の「3つの首」とお腹まわり。ここは血管が皮膚の近くを通っていて、冷えやすい部分です。ですから、まずはタートルネックやストールで首を、薄手のリブ袖やアームウォーマーで手首を、靴下+レッグウォーマーで足首を、やさしく包んであげましょう。お腹は、薄手の腹巻きやハイウエストのインナーを味方につけると安心感がぐっと増します。
さらに、素材選びも温活のカギです。肌にいちばん近いインナーは、吸湿発熱素材やシルク、メリノウールなど、汗をほどよく逃がしながら保温してくれるものを選ぶと快適。いっぽうで、きつすぎるガードルや締めつけの強いタイツは、せっかく温めた血流を妨げてしまうこともあるので、真冬は「ちょっとゆとりがあるけどフィットする」サイズ感を意識してみてください。
また、在宅ワークやおうち時間が長い日は、足元だけが冷蔵庫みたいになりがちです。そんなときは、床からの冷えをカットするルームシューズや、もこもこソックス+レッグウォーマーの重ねワザが頼もしい味方。上半身は薄手のカーディガン、下半身は膝掛けをさらっと重ねるなど、「必要なところだけ足す」感覚で調整すると、動きやすさと温かさのバランスがとりやすくなります。
食べる温活・飲む温活でじんわりポカポカ
次に、からだの内側からの温活です。寒い日ほど、つい甘いお菓子や冷たい飲み物に手が伸びてしまいますが、まずは一日の中で「温かい飲み物の回数」を増やすことから始めてみましょう。朝は白湯や常温の水、日中は温かいお茶やノンカフェインのハーブティーに置き換えるだけでも、ほっと一息ついたときの満足感が変わってきます。
とくに、生姜は「温活食材」としてよく知られていますよね。生姜を含む飲み物や食品が、手足などの皮膚温をゆるやかに高めたという報告もあり、真冬のティータイムに取り入れる人が増えています。ただし、たくさん摂れば摂るほど良いというわけではないので、紅茶やスープに少し加える程度の「おいしく続けられる量」が目安です。
また、体を中から温めるには、「温かい+栄養がとれる」メニューを味方につけるのが近道です。たとえば、具だくさんの味噌汁やスープ、ショウガ入りの鍋、豆腐や卵を使ったとろみのあるおかずなどは、胃腸にやさしく、満足感も高めてくれます。さらに、たんぱく質や鉄分を意識すると、毎日のコンディションを整えるサポートにもつながります。
いっぽうで、カフェインのとりすぎや、砂糖たっぷりのホットドリンクは、逆に眠りを妨げたり、血糖値のアップダウンで疲れを感じやすくすることも。なので、夜はカフェイン少なめのブレンドやノンカフェインのハーブティーを選びつつ、甘みが欲しいときは、少量のはちみつや黒糖で楽しむなど、上手に付き合っていきたいところです。

お風呂&足湯のベストな入り方で睡眠も味方に
真冬の温活といえば、やっぱりお風呂。とはいえ、「熱いお湯に長く入るほどいい」と思っていませんか?実は、就寝の1〜2時間前に、少しぬるめ〜やや温かめ(おおよそ40℃前後)のお湯にゆったり浸かるほうが、寝つきや睡眠の質をサポートしやすいとする研究がいくつか報告されています。
お湯に浸かると一時的に体温が上がり、そこからゆるやかに下がっていくタイミングで、からだは自然と「眠るモード」に入りやすくなります。つまり、寝る直前の熱すぎるお風呂は、かえって体温が下がりきらず、興奮して眠りにくく感じる場合もあるということ。真冬こそ、「少しぬるめで長め」を意識して、のぼせない範囲でじんわり温まりたいですね。
また、全身浴がむずかしい日や、時間がない夜には「足湯」も立派な温活になります。足首からふくらはぎまでを、少し熱めのお湯に10〜20分ほど浸けるだけでも、リラックス感が高まり、眠りの満足度が上がったと感じる人が多いことが報告されています。お風呂が苦手な人でも取り入れやすく、バケツや洗面器があれば気軽にできるのも嬉しいところです。
さらに、入浴中はスマホを持ち込まず、好きな香りの入浴剤やアロマを楽しんだり、照明を少し落としてぼーっとするだけでも、心の緊張がほぐれやすくなります。お風呂上がりは、タオルでさっと水気を拭き取ったあと、乾燥しやすい部分にだけオイルやクリームを塗ってあげると、スキンケアと温活を一度に叶えられます。
生活リズムを整えて、自分に合う「温活ベスト」を見つける
最後に、意外と忘れがちなのが生活リズム。どれだけ温かい服やおいしい温活メニューを取り入れても、睡眠や休息がボロボロだと、体はなかなか本来の力を発揮してくれません。ですから、真冬こそ「寝る時間と起きる時間をなるべくそろえる」「日中はできる範囲で体を動かす」といった基本を丁寧にしていくことが、じわじわ効いてきます。
たとえば、朝起きたらまずカーテンを開けて日光を浴び、軽くストレッチ。日中はエレベーターではなく階段を使う、ひと駅分歩いてみるなど、無理なく続けられる動きを足していきます。そして夜は、スマホを見る時間を少しだけ短くして、その分を「お風呂+ストレッチ+足元を温めてリラックスする時間」に置き換えてみる。こうした小さな積み重ねが、結果として「冷えにふりまわされない私」をつくっていってくれます。
そして何より大切なのは、周りの「これが一番効く!」という情報に振り回されすぎず、自分の体が気持ちいいと感じる温め方を選ぶことです。分厚い靴下を二重に履くより、薄手の靴下+レッグウォーマーの方が楽に感じる人もいれば、短時間の熱めシャワーがスッキリする人もいます。なので、いくつか試しながら、「これなら無理なく毎日できそう」という組み合わせを探してみてください。
真冬の温活のベストとは、誰かの正解をまねすることではなく、「服・食事・お風呂・生活リズム」を自分なりに整えて、冷えと上手につき合うための“私仕様のレシピ”を見つけること。その結果として、顔色が明るく見えたり、メイクのノリがよく感じたり、朝のだるさが少し軽くなったりと、日々の心地よさがふんわり積み上がっていきます。この冬は、頑張りすぎない温活で、自分をじんわりいたわってあげましょう。
出典
https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/7330968/7330968.pdf
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0020748902000238
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpa/19/1/19_1_21/_article/-char/ja/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6196930/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs1983/58/1/58_1_3/_article
