産後ママの体調リセットに―ハーブ蒸しが授乳期の味方になる理由

出産ハイのあとにやって来る“ガス欠感”

出産という大仕事を終えた体は、ホルモン・血流・自律神経のすべてが急ブレーキとアクセルを同時に踏むような揺らぎ期に入ります。寝不足でむくみが抜けず、気持ちはふわふわ、母乳はうまく出る日と出ない日が交互にやって来る——そんな“ガス欠感”は産後あるある。原因の一つは、妊娠中に拡張していた骨盤内の血流が急に滞りやすくなること。そして授乳で水分もミネラルもどんどん奪われること。ここで体を優しく温め、香りで脳をリラックスさせるハーブ蒸し(スチームサウナ)を習慣にすると、めぐりと自律神経が同時にほぐれ、授乳ライフを底支えしてくれます。

ハーブ蒸しが授乳期に効く三つのワケ

40℃前後の緩やかな蒸気に骨盤まわりをさらすと、皮膚表面の血管が開き、深部体温が約0.5〜1℃上昇。すると乳腺へ送られる血流も増え、オキシトシンとプロラクチンが分泌されやすい環境が整います。実際、温かいスチームで胸部を温めた研究では、母乳量が有意に増えたという報告もあります。第二に、ローズマリーやヨモギなど授乳期OK(※刺激の強い精油を除く)のハーブ芳香が嗅覚から大脳辺縁系に届き、産後ママに多い軽度の不安・抑うつを和らげる働きが示唆されています。第三に、蒸気浴中は自然と腹式呼吸になり、横隔膜が上下して血液とリンパの“ポンプ役”を強化。汗腺が開く頃には、むくみのもととなる余分な水分もそっと排出されます。

産後60日間の“ゆる蒸し”ルーティン

産褥期の前半はまだダメージが大きいので、高温サウナはNG。湯気が心地よい程度――「あ、毛布にくるまったくらいの温度だな」と感じる40℃弱からスタートしましょう。椅子の下でハーブを煮立て、脚と骨盤だけ10分包む“下半身スチーム”にとどめれば会陰部の縫合痕にも負担をかけません。授乳直後に行うと体液が奪われにくく、リラックス効果で赤ちゃんの寝つきもスムーズ。終了後は白湯や麦茶でこまめに水分を補い、塩とカリウムを含むおにぎりやバナナで電解質をチャージ。体がほどよく火照ったら、そのまま横になって15分ほど目を閉じる“追い休息”を挟むことでホルモンの回復弁がさらに開きます。

 

安全第一で“授乳フレンドリー”を守る

ハーブ蒸しは医薬品ではなくセルフケア。一度に汗をかきすぎると乳汁が一時的に減ることがあるので、発汗はじんわり程度に。ペパーミントやセージなど乳量を抑える可能性が指摘される精油は避け、ローズ、ラベンダー、カモミール、ヨモギなどマイルドなハーブを選ぶのが鉄則です。また帝王切開後の瘢痕が完全に閉じるまでは蒸気が直接当たらないポジションで行い、発熱・感染症が疑われる日は中止。脱水防止に授乳前後で必ずコップ一杯の水を飲む習慣をセットにしておきましょう。

「温め+香り+呼吸」の三拍子が、産後ママに小さな余白をくれる

産後の体調リセットは、何かを“頑張る”よりも“緩める”ことから。ハーブ蒸しは、温めでめぐりを促し、香りで心をほぐし、深い呼吸で自律神経を整える三拍子を、赤ちゃんのそばで叶えてくれる味方です。続けるほど母乳の出や睡眠の質、むくみやすさに“じわりいい変化”が積み重なり、「今日もやれてる」という自己肯定感までチャージ。まずは退院後のタイミングで、10分の“ゆる蒸し”を自分へのごほうびに加えてみませんか?


出典

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3265423/
https://www.scitepress.org/Papers/2018/83255/83255.pdf
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10394491/
https://ijahst.org/index.php/ijahst/article/view/184
https://steamychick.institute/article41/

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