しっとりしていたはずの頬が急に粉を吹き、Tゾーンはテカるのに目元はカサつく——季節の変わり目は、気温と湿度の揺らぎが肌バリアに試練を突きつけるタイミングです。
保湿クリームを重ねても追いつかない揺らぎ肌を落ち着かせる秘訣は、外側だけでなく“内側”の土台を整えること。
そこで注目したいのが、古くから“飲むお守り”として親しまれてきたハーブたち。香りで心をほどく一方、植物が蓄えたフィトケミカルが体の巡りと抗酸化力を優しく後押ししてくれます。リラックスタイムを兼ねて取り入れられるから、忙しくても続けやすいのも魅力です。
ハーブがもたらす美肌サポートは、大きく分けて二つの軸で説明できます。
一つめはポリフェノールやフラボノイドによる抗酸化・抗炎症作用。紫外線やストレスで発生する活性酸素を穏やかに抑え、角層の水分を守る働きが期待されます。
二つめは腸内環境へのアプローチ。腸で善玉菌を育てると、肌のターンオーバーを整える短鎖脂肪酸が生まれやすくなり、乾燥やくすみがゆらぎにくくなるといわれます。
このダブルのチカラを味方にすれば、化粧水の浸透感や翌朝のメイク乗りがふっと軽く変わるのを感じられるかもしれません。
では、季節の肌トラブル期に頼れる“飲む美容液”ハーブを三つピックアップします。
まずはカモミール。ほの甘いりんごのような香りには副交感神経を高める働きが報告されており、睡眠の質を底上げして夜間の肌再生をサポート。
次にローズマリー。ローズマリー酸をはじめとした成分が活性酸素を掃き取り、うるおいを奪う炎症カスケードをブロックすると示唆されています。
三つめはルイボス。南アフリカ原産の赤いお茶にはアスパラチンなど独自のポリフェノールが豊富で、砂糖や脂質が引き起こす糖化ダメージからコラーゲンを守る研究が進行中です。
ミント系も捨てがたく、ペパーミントは腸をスッキリ整える一方、アップルミント由来のエキスが肌トーンを均一にする臨床データも出ています。
飲み方は「温+ゆっくり」が合言葉。沸騰させたお湯を少し落ち着かせてからティーバッグやドライハーブを抽出し、湯呑みを両手で包むようにして香りを吸い込みます。
朝はローズマリーでシャキッと血行を上げ、午後の集中切れにはルイボスでカフェインレスの糖化ケア、夜はカモミールで深呼吸しながら就寝モードへ。
冷えが気になるときは、カップにショウガスライスを一枚忍ばせて巡りをプラス。
ハーブの味が苦手な日は豆乳やはちみつで割るとまろやかさが増し、無理なく続ける習慣へと変わります。
毎日数杯のハーブティーは、即効性よりもじんわりと続く土壌改良のようなもの。頬のキメがふっくら整ったり、ファンデのノリが均一になったり——小さな変化が積み重なったとき、「季節の揺らぎ=肌荒れ」の固定観念がほどけているはずです。
外からのスキンケアに“内側ケアの一杯”を添えて、この季節をしなやかに乗り切りましょう。
出典 Chamomile: A herbal medicine of the past with bright future. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2995283/ A dietary supplement containing rosemary extract improves visible skin parameters. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11932106/ The health benefits of rooibos tea in humans. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10774856/ Peppermint essential oil: phytochemistry and biological activity review. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0753332222009489 Apple mint extract improves skin tone in clinical trial. https://irispublishers.com/gjnfs/fulltext/the-efficacy-of-apple-mint-extract-as-a-nutraceutical.ID.000615.php